カマクラと太宰治の文学 館長:富岡幸一郎

4月27日(土)から7月7日(日)まで春の特別展「太宰治VS津島修治」を開催します。

太宰治VS津島修治 太宰治と鎌倉ってどんな関わりがあるの?とお尋ねになる方がいます。昭和5年、21歳のとき鎌倉腰越の小動崎で銀座の女給と薬物自殺をはかり、昭和10年、26歳のときには新聞社の入社試験に落ちて鶴岡八幡宮の裏山で自殺未遂をしています。何でカマクラで?わかりません。最初の小説集のタイトルを『晩年』と名づけた太宰ですので、死はつねにその文学の底流にありました。生きることのよろこびも、創作の充実も、時代の寵児としての恍惚も、死の不安と切り離すことができない、そんな作家の宿命を背負っていたのです。

しかし、鎌倉はまた作家に大きな文学的テーマを与えてくれた土地でした。昭和18年、戦火の深まりつつあるなか、太宰は代表作のひとつとなる『右大臣実朝』を書き下ろしで刊行したのです。鎌倉三大将軍にして歌人の実朝、その青年の悲運と純粋な魂を描くことは作家の少年の頃からの夢だったのです。

今回の展示は、太宰文学を高く評価する鎌倉在住の現代作家、高橋源一郎さんに監修していただきました。津軽の青年・津島修治(太宰の本名)と、自らの生き方を演戯と化して疾走するように書き綴った作家・太宰治。この双面にして葛藤する「私」のドラマを二部構成でお届けします。今も若い熱心な読者がたえない、この稀有な作家の真実の生きる姿を改めて知ることができるでしょう。

6月30日(日)午後2時から鎌倉商工会議所ホールにて高橋源一郎さんの講演会「太宰治VS津島修治」を開催します。

また、恒例の「鎌倉文学館バラまつり」は5月15日(水)から6月9日(日)です。文学館の庭に咲く素晴らしいバラをお楽しみください。5月25日(土)、26日(日)、6月1日(土)、2日(日)には庭園でコンサートを行います。講演会の申込方法とバラまつりの詳細はHPで確認してください。

太宰ゆかりの腰越の小動崎は夕陽の絶景ポイントなので、文学館で太宰とバラを堪能したあとカップルで立寄ってみてはどうでしょうか。

腰越の小動崎
腰越の小動崎

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