もっと知りたい!鎌倉の基礎知識 世界遺産登録を目指して 神奈川県教育委員会教育局生涯学習部文化遺産課世界遺産登録推進グループ 桝渕規彰

「武家の古都・鎌倉」が、暫定リスト登載以来20年の歳月を経て、平成24年1月、ついに世界遺産に推薦された。ともに登録をめざす4県市の一員、神奈川県の職員として、平成11年から鎌倉の世界遺産登録に携わってきた自身にとって、大きな一歩を踏み出せた感慨は深いものがある。

この間、平成4年の世界遺産条約批准に際して、同時に暫定リスト入りした京都や奈良などは数年のうちに登録され、後発の「紀伊山地」、「石見銀山」、「平泉」などが次々と推薦・登録される中、鎌倉は「いつになったら」との焦燥感は隠せなかった。ただし、指をくわえて眺めていたわけではなく、「寺や神社を主体とする古都では、京都や奈良と変わらない」、「開発が進んだ都市部の遺産は難しい」など多くの批判を受け止めつつ、鎌倉の独自性、強力なアピールポイントを模索し続けた。そしてたどり着いたのが、「武家政権の樹立、それを背景とした武家文化の成立、これらを物語る社寺や考古学的遺跡と三方を山に囲まれ一方が海に開く要害的地形とが一体となって造られた武家の都」というストーリーである。それを体現するため、古都保存法で市民が守り続けてきたみどり豊かな山並みを構成資産に取り込んだこと、これが鎌倉の最大の特徴である。

「武家の古都・鎌倉」が登録されるか否か、平成25年5月まで続くイコモスによる審査、同年6月開催予定の第37回世界遺産委員会を経て運命は決する。

まだ、勝ったわけではないが、兜の緒を締めてかからねばならない。

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