武家の古都・鎌倉の歩き方(巻頭インタビュー)「武家の古都の風情と楽しい渦を生む若さと。」第一回 鶴田真由さん

鎌倉INFOの巻頭ロング・インタビューの記念すべき第1回は、鎌倉市国際親善観光大使をつとめる女優の鶴田真由さんにお話を伺いました。鎌倉に生まれ育った鎌倉っ子の鶴田さんは、2013年に結果が公表される世界文化遺産についてどう考えているのでしょうか。また、今の鎌倉についてどんな風に見ているでしょうか。観光大使・鶴田真由さんに鎌倉をガイドしていただきます。

◆“野生児”だった少女時代

鶴田さんは生まれも育ちも鎌倉とのことですが、少女時代はどんなお子さんだったんでしょうか?

当時はまだ家のすぐ裏に薮があったので、薮の中に一人でこっそり基地を作って本やお菓子を持ち込んでその中で過ごしたり、時々、親を招待してみせたり。

秘密基地ですか? 男の子の遊びみたいですね。

外で遊ぶのは好きでした。木の上の枝振りがいい所をお気に入りの場所にしたりして。さすがに小屋は作っていませんが。

意外ですね。今、鎌倉は世界文化遺産登録に向けて「武家の古都」としてアピールしていますが、小さい頃、そういうことは意識していましたか?

小さい頃にはわかりませんでしたね。ちょっと散歩に出れば境内を横切りますし、お墓参りでお寺に行くなど、当たり前に身近にありましたから。そこが歴史的な場所なんだということが、かえってよくわからなかったんでしょうね。中学は東京の学校に通っていましたが、家が鎌倉だと言うと、友達に「毎日が遠足だね」なんて言われて損した気分だったり(笑)。

鎌倉の良さに目覚めたのはいつ頃でしょうか?

カカ大学を卒業したあと、鎌倉の外に出て東京で暮らすようになって初めてわかるようになりました。たまに帰ると「鎌倉って静かでいい所だなあ」とか、「文化人が好む空気感があるなあ」とか。その頃、自分があまりにも何も知らないので、ガイドブックを買ってお寺を回ったことがあるんですよ。

オススメのお寺があれば教えていただけますか?

私は覚園寺さんが好きなんです。普段は勝手に入れませんが、時間ごとにお寺の方が案内して下さって、きちんと守られている感じがします。山側にあるのですごく静かで気持ちがいい所ですね。他にもお寺では、妙本寺や、建長寺の裏あたりも好きですね。浄智寺のあたりは、いろいろなイベントもあって、とても素敵なエリアです。

鎌倉発の楽しい文化の渦を発信したい

2010年に観光大使に就任されたということですが、鎌倉を外に発信していくことについて、どんなことを考えていらっしゃいますか?

観光大使就任に先立つ話になりますが、5年ぐらい前から〈鎌倉ルートカルチャー〉というNPOのグループと知り合って、一緒にいろんな活動をやるようになっていました。鎌倉の若い人たちが文化を発信する様子に触れて、鎌倉はこれからの時代の発信地になり得るということをその頃からとても意識していました。鎌倉って、東京にすごく近くて、同時にローカル的な要素もあって、人々も注目しやすいし、イベントをやっても遊びに来やすい場所でもあるので、「鎌倉、勢いづいて来ているな。ここから何かやるとおもしろいかも」と思っていたんです。その数年後に観光大使の話をいただいて、「私が大使に就任することで、若い人たちと、行政をうまくつなぐことができるかもしれない」と考えて引き受けました。

いま、ルートカルチャーpresentsの舞台を一緒に企画しています。〈ポかリン記憶舎〉という劇団の演出家と、ルートカルチャーのメンバーの舞台役者と、私の3人で、2013年の上演をめざしています。鎌倉からスタートして、日本各地で同じような活動をやっている仲間を訪ねて全国を回って行きたいと考えています。「自分たちの地元から、こんな楽しいことを生み出せるんだよ。それがネットワークを通じて楽しい渦みたいなものを起こせるんだよ」っていうことが一番のテーマなのかもしれないですね。

世界文化遺産に登録されればますます注目を集めそうです。

うまく相乗効果になればいいですね。今年の大河ドラマを見ていてもわかりますが、世界文化遺産登録のテーマに掲げている「武家」は、時代の過渡期に命をかけ精神を傾けて世の中をひっくり返したわけですよね。同じように時代の過渡期にいる今、その武士が興したマチで何をすべきなのか考えると、やっぱりその精神を一番大事にしたい。常に前を向いて進むべきで、過去のいいものは感謝して残しながら変化しないと面白くない。鎌倉にとって大切な、一番核となることはそういうことなんじゃないかと考えています。今、若い人たちを中心にそういう新しい文化の機運があるから、その勢いで世界遺産にも認定されるかもしれないな、とも思っているんですけど。

スケールが大きい夢のある話ですね。舞台も楽しみにしています。ご活躍をお祈りしています。ありがとうございました。

ありがとうございました。

鶴田真由さんの鎌倉観光ガイド

LESSON 1 愛犬も喜ぶハイキング
カカ最近、定年退職になったおじが山歩きをよくしているので、私も一緒について行って歩いています。おじの知り合いに囲まれて、おじさまキラーになりながら(笑)。愛犬のカカも一緒に連れて行きますが、東京の散歩とは全然違って大喜びするんです。山の中は情報量が圧倒的に違いますよね。足から伝わってくる感触も、葉っぱが落ちている土のところは、アスファルトよりバリエーションがあるし、いろんな匂いもあるし、動物も虫もリスもいますし。その情報量の多さに刺激されるんでしょうか、楽しそうでテンションが高くなります。人間も同じで、いろんな感覚が刺激を受けて、子供にも絶対いい環境だと思いますね。

LESSON 2 迷子になってみてはいかが?
鎌倉は路地歩きもオススメです。メインストリートから一本入ると結構面白い。車が通れないような狭い道がたくさんあって、思いがけず、昔ながらの家が建っていたり面白い塀があったり。鎌倉宮のまわりとか、佐助稲荷の森、文学館のあたりも魅力的です。思い切って迷子になってみるのもいいかもしれません。ガイドブックを見ずに迷子になってみる。鎌倉なら迷子になってもすぐにメインストリートが見つかりますから安心です。知らない所へ入ってみると、ほんとにちょっとした所に鎌倉らしさを垣間見たりできると思うんです。私も未だに「こんな道があったんだ!」という発見があるんですよ。

LESSON 3 鎌倉のいろいろなチャンネルを知ろう!
歴史のある古都という顔や、湘南ブランドの顔があるように、鎌倉にはいろんなチャンネルがあるんです。「今日はお寺でしっとりお抹茶でも飲みたいわ」なんて気分で出かけるのもいいですし、「ビーチサンダルで犬を連れて海に散歩に行こう」という時は、ちょっと湘南モードになればいい。自分の中で「今日は何をテーマにしようか」みたいに、気分に合わせてチャンネルを切り替えて楽しめばいいんじゃないでしょうか。

鶴田真由さん
PROFILE/鶴田真由(つるた・まゆ)

女優。映画、テレビドラマ、舞台、CMなどの活動のほか、自然体で飾らない姿と独自の視点からのコメントが支持を得て、旅番組、ドキュメンタリー番組への出演も多い。96年には日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。

現在BS日テレ「森人」、TOKYO FM「フロンティアーズ~明日への挑戦」にてナレーション出演中。また、神話をひも解き日本の源を探るプロジェクト『ニッポン西遊記』を始動するほか、「いいね!JAPANプロジェクト」のオフィシャルナビゲーターとして活動。

10月5日より森山直太朗劇場公演「とある物語」(東京他)に出演。
2010年、鎌倉市国際親善観光大使就任。

http://tsurutamayu.com/

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