文学の旅へのご招待〜鎌倉文学館コラム〜 カマクラから創るー鎌倉文学館の「今」 館長:富岡幸一郎

長谷にある鎌倉文学館は、加賀百万石の前田侯爵家の別邸を昭和60年より文学館として用い、鎌倉にゆかりの文学者の資料収集・保存・展示をおこなっています。

この春の特別展では、「カマクラから創る」のタイトルで、藤沢周氏、柳美里氏、大道珠貴氏の三人の作家(いずれも芥川賞受賞作家)と、詩人の城戸朱理氏の鎌倉在住の戦後生まれの文学者の展示を行ないました。

現役作家だけあって、現在進行形のユニークな展示ができ、トークイベントや鎌倉商工会議所でのシンポジウム(6月17日)にも多くの参加者を得ました。文学館の館長としての私の初仕事でもありましたが、展示させて頂いた文学者をはじめ関係者の方々、そして文学を愛好する多くの来館者の協力のおかげであったと改めて感謝しています。

鎌倉文学館のステンドグラス現代の作家・詩人たちのコトバの「今」を展示紹介する。それは大胆な試みでしたが、彼らの紡ぐ日本語は、この国の千年の文学の流れのなかにある、そのことを強く印象づけられました。伝統は今ココに息づいている、そのことを実感できるのは何と素晴しいことでしょう。

さて、文学館の9月の特別展は「ウーフとひとっとび 神沢(かんざわ)利子(としこ)の世界」を23日まで開催しています。まだまだ暑いですが、なだらかな坂道をあがり文学館の庭に入ると、周囲の木立からのさわやかな風を感じホッとします。展示では、自然や動物の世界を童話化し、生命の大切さ、生きとし生けるものへの畏敬をつたえる神沢ワールドが、見る者の心を優しく大きく包み込んでくれます。親子で楽しめる工作コーナーやウーフに変身できる部屋もあります。

また、9月末まで全国の小中学生から詩作品を募集しています。くわしくは鎌倉文学館のホームページをご覧下さい。未来を創るコトバを楽しみにしています。

秋の特別展は10月6日から「源実朝 生誕820年」を開催します。元祖・鎌倉文士といえばこの人をおいて他にありません。三代将軍にして近代文学にも大きな影響を与えたこの類まれなる歌人を、今日から捉え直して紹介します。ご来館をお待ちしています。

鎌倉文学館

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